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自分自身という資産をいかに活用しそこから富を生み出すかー橘 玲【臆病者のための株入門】

 

臆病者のための株入門 (文春新書)

臆病者のための株入門 (文春新書)

 

 筆者の橘玲氏は「マネーロンダリング」という著作で一躍話題となり、TVなどに多く出演するようになった人物である。

私はこれまで「株」と聞いたときには一部のお金好きな人、あるいは富裕層が余っているお金を投資し、株価の変動に一喜一憂しながら楽しむことのできる一種のゲームのようなものであるというイメージがあった。

しかし 20代後半になり、結婚し就職する中で真剣に考え始めるようになったことの一つが今後どのように経済をやり繰りしていくか、どのように資産を運用していくかということである。今の自分が資産と言っても、大した額の貯金もないし、運用できる金額も大きくはない。それでも昔100円で買うことのできた缶ジュースが今では130円するように、現在のお金の価値が数十年後に同じ価値を持つということはないため、計画的に長期的にお金を増やしていく方法を考える必要があると思うようになった。

本書では私のように「株」という言葉に免疫がない人が読んでも分かり易くシンプルな内容で株式の仕組み、投資の種類や目的に合った投資方法を紹介している。また、ノーベル経済学賞を受賞した学者らのそれぞれの投資理念、投資方法の違いも紹介されていて興味深い。最後の章では素人の投資方法「トーシロ投資法」が紹介されており、初心者がどのような投資を行えばいいのかという一つの戦略が書かれている。

また、筆者は誰彼問わず無批判に株への投資を推奨するのではなく、私のように若い世代にとっては自分自身という資産をいかに活用しそこから富を生み出せるかという人的資本の考え方が大事であると説いている。人生の前半では自分自身に投資する人的資本が、そして人生の後半では金融資産の運用能力が大きな影響を持つということである。

私のように資産運用についてこれまであまり学んで来なかった人やこれから株について勉強しようと考えている人にとっては読んでも無駄にはならない1冊である。