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インテリジェンス世界での処世術ー佐藤優【野蛮人のテーブルマナー 「諜報的生活」の技術】

 

「諜報的生活」の技術 野蛮人のテーブルマナー

「諜報的生活」の技術 野蛮人のテーブルマナー

 

 佐藤優の本を書店に置かなければ潰れてしまう書店もあると言われるほどに、佐藤優の書籍が本屋を圧巻しているように思う。それもそのはずで筆者が冒頭で述べているように、筆者は対談・座談を含めた原稿を1か月に1000枚以上生産するという超作家の仕事ぶりである。しかも筆者の信念にはダブらせない、つまり他の作品では同じ内容を書かないと決めている。そうした自身が定めた制約の中でこれだけの著書を生み出せるのだから作家としての成功も頷ける。


本書は諜報的(インテリジェンス)生活がテーマとなっており、筆者が外交官時代に養ってきたインテリジェンス的生活のエッセンスを ふんだんに盛り込んでいる。

インテリジェンスの世界というのは常に命の危険に晒されている世界。そんな印象を受ける本書では「駆け引き」が必要とされる場面で役に立つ技法がたくさん紹介されている。
本書は第1章で「野蛮人のテーブルマナー」という連載、第2章では著名人との対談という構成になっている。
第1章の序盤では世の中に溢れている情報の中から価値ある情報を得る技法について、後半にはインテリジェンスの世界において対人関係の中でどのような付き合い方をすべきか、そして危機管理の作法などが書かれている。

個人的には後半部のアントニオ猪木との対談は面白かった。両者の意外なつながり、そして猪木のインテリジェンス的な側面が描写されていて興味深かった。男にとって酒や食事の席こそが情報戦の戦場であり、重要な情報収集源である。そういった心構えを私も今後持ちたいと思う。

ビジネス書のような類は目次を読めば大体の構造が掴めるものだが、本書も目次を読むことでポイントを把握できるので読みやすい。