国際開発に向けて今できること-国際医療NPOロシナンテス創設者の川原尚行氏に学ぶ-
先日、国際医療NPO法人「ロシナンテス」の『行くぞ!ロシナンテス』出版記念講演(6月15日・紀伊國屋サザンシアターにて開催)に参加してきました。
ロシナンテス創設者の川原尚行さんは外務省の医務官としてタンザニアで働かれていた時に、途上国の医療に問題意識を持ち、その後外務省を辞して単身スーダンで医療活動を行うようになります。2006年5月に国際医療NPO法人「ロシナンテス」を立ち上げられ、その後はスーダンと東日本大震災の被災地である東北の閖上を主な拠点として活動をされています。世界中に「医」を届けるという信念の下、医療だけでなく農業や教育、スポーツ事業など幅広い活躍をされています。
私は5年ほど前にTVのドキュメンタリー番組で川原先生が取り上げられているのを観て、その人柄と活躍ぶりに惚れ込みファンになりました。いつかお会いしたいと思っていましたが、ついに講演会という形でお会いでき、感激しました。
サインを手に入れるべく、また、最前列で講演を聴くべく、仕事が終わってからすぐに新宿に向かい、なんとか最前列、そしてサインを頂くことができました。
講演の内容は書籍でも書かれている内容がほとんどでしたが、その中でも質疑応答の際に語られた川原先生の言葉が印象的でしたので紹介します。
質問の内容は高校で教鞭を執られている教師の方で、「学校に国際協力に関心のある子はいるけれど、そういった分野で活躍するために今しておくべきことは何でしょうか」というような内容でした。
それに対して川原先生はこう答えられました。
「高校生や若い人は特に、自分を鍛える訓練をすることが大事だと思う。誰かを『思いやる心』だったり助けたいという気持ちを育てていくことが必要。そういう気持ちがあるからこそ開発途上国に行ってもやっていける。英語とかはもちろん必要だけど、そういったものは必要に迫られて自然にやるようになります」
私もあと1か月でロンドンに行く予定で、それは国際開発を専門にする最初の挑戦の機会でもありますが、川原先生のこの言葉を聴きながらハッとさせられたのです。
私は職歴もなければ途上国で何年も働いたという経験もない。もちろん、知識も何もない。専門家とはとても呼べないほどの未熟者ですが、それでもそんな自分にとって今できることは何だろうか。そんなことをずっと考えていた時でしたので、川原先生の言葉がそれに答えるかのようでした。
たとえ、いま経験がなくても、誰かを思いやる心や愛する心、誰かの為に真心を尽くして投入していくということはいつでもできる訓練であるということに気づかされたのです。
自分の身近な家族に対して、あるいは友人や会社の人に対して、感謝の気持ちを述べたり、ちょっとした思いやりを施したりすることで自分の人格的な成長に繋げることができる。そしてその人格的な成長はきっと精神的な強さとなって、それは将来国際開発に携わる中で非常に重要なものになるのではないかと思いました。
私がなぜ、国際協力の分野に進もうと思ったのか
そういった原点回帰とも呼べるような問いを考えるきっかけをくださった川原さんの講演でした。とても貴重な時間に感謝です。